~ぼくらの『アンナと性春』シリーズ~ 2
2008年 02月 16日
『バスケットボールシューズ』
あの日、あの夏の、あのキスは何だったんだろう。
10年振りと言われていた猛暑のせい?
サウナと化した体育館の熱気のせい?
高校2年生という若さのせい?
友情?それとも愛情?
今となっては分からない。
そして、分からなくてよかったと思う。
ただ、あの日、あの夏の、あのキスは今でも鮮明に覚えている。
バスケットボールの皮の匂い。
床にこすりつけられ、悲鳴をあげるバッシュの音。
攻撃的なまでの体育倉庫の熱気。
汗の匂い。乱れた息遣い。
そして不意に訪れた『ポカリスウェットの味』。
とりあえず俺は『夏と青春』のせいにした。
「ねぇ、貴志。式場の事なんだけど、この前のところでいい??
今月中に予約しておいた方が少し安くなるって、担当の鈴木さんが。。。」
「あぁ、いいよ。。。。ごめん、式場に関しては任せていい??
俺そういうの分からないから。」
「もう、私だって初めてなんだから分からないよ!しっかりしてよね。
”もうすぐパパになるんだから”」
そう言って真奈美はまた式場のパンフレットを見始めた。
最近とても楽しそうだ。
そしてちょっと強くなった。
『彼女』から『妻』へ、そして『ママ』になるからだろうか?
そういえば最近、前にも増して優しい顔になった。
俺はどうなんだろう?
『彼氏』から『夫』へ、そして『パパ』に。。。
正直まだピンと来ていない。
お腹の中に赤ちゃんが”いる”と”いない”の差なのかな。
それとも。。。
「あっ、そういえば貴志の高校のバスケ部から、
同窓会のお知らせの葉書きが来てたよ。」
真奈美が重いお腹を持ち上げ葉書きを渡してくれた。
冷蔵庫からいつもの冷たい缶コーヒーを取り出し、
居間に戻りながら葉書きを見つめる。
差出人は。。。大川原篤史。
俺はそのまま居間を通り抜け、ベランダに出てタバコに火を点ける。
蝉の鳴く声が聞こえる。
居間に戻り、葉書きに書いてある『参加する』という文字を
黒ペンで丸く囲み、冷蔵庫に缶コーヒーをしまう。
「ちょっとポカリ買ってくるわ。」
「あら?珍しいね、どうしたの急にポカリなんて。。。」
真奈美の話の途中で扉が閉まる。
葉書きをポストに入れ、自動販売機でポカリを買う。
今年は10年振りの猛暑らしい。
冷たいポカリスウェットが『心』と『体』に染み渡った。。。
つづく
あの日、あの夏の、あのキスは何だったんだろう。
10年振りと言われていた猛暑のせい?
サウナと化した体育館の熱気のせい?
高校2年生という若さのせい?
友情?それとも愛情?
今となっては分からない。
そして、分からなくてよかったと思う。
ただ、あの日、あの夏の、あのキスは今でも鮮明に覚えている。
バスケットボールの皮の匂い。
床にこすりつけられ、悲鳴をあげるバッシュの音。
攻撃的なまでの体育倉庫の熱気。
汗の匂い。乱れた息遣い。
そして不意に訪れた『ポカリスウェットの味』。
とりあえず俺は『夏と青春』のせいにした。
「ねぇ、貴志。式場の事なんだけど、この前のところでいい??
今月中に予約しておいた方が少し安くなるって、担当の鈴木さんが。。。」
「あぁ、いいよ。。。。ごめん、式場に関しては任せていい??
俺そういうの分からないから。」
「もう、私だって初めてなんだから分からないよ!しっかりしてよね。
”もうすぐパパになるんだから”」
そう言って真奈美はまた式場のパンフレットを見始めた。
最近とても楽しそうだ。
そしてちょっと強くなった。
『彼女』から『妻』へ、そして『ママ』になるからだろうか?
そういえば最近、前にも増して優しい顔になった。
俺はどうなんだろう?
『彼氏』から『夫』へ、そして『パパ』に。。。
正直まだピンと来ていない。
お腹の中に赤ちゃんが”いる”と”いない”の差なのかな。
それとも。。。
「あっ、そういえば貴志の高校のバスケ部から、
同窓会のお知らせの葉書きが来てたよ。」
真奈美が重いお腹を持ち上げ葉書きを渡してくれた。
冷蔵庫からいつもの冷たい缶コーヒーを取り出し、
居間に戻りながら葉書きを見つめる。
差出人は。。。大川原篤史。
俺はそのまま居間を通り抜け、ベランダに出てタバコに火を点ける。
蝉の鳴く声が聞こえる。
居間に戻り、葉書きに書いてある『参加する』という文字を
黒ペンで丸く囲み、冷蔵庫に缶コーヒーをしまう。
「ちょっとポカリ買ってくるわ。」
「あら?珍しいね、どうしたの急にポカリなんて。。。」
真奈美の話の途中で扉が閉まる。
葉書きをポストに入れ、自動販売機でポカリを買う。
今年は10年振りの猛暑らしい。
冷たいポカリスウェットが『心』と『体』に染み渡った。。。
つづく
by deniro0817
| 2008-02-16 20:12
| 小説