人力舎、鬼ヶ島の和田によるブログみたいなやつ。


by deniro0817

~ぼくらの『アンナと名作』シリーズ~

『三匹の子豚 2 』


昔から真面目だと言われる

それは褒め言葉としての『真面目』では無く

つまらないという意味での『真面目』だ


確かに私の人生は真面目でつまらない

物事を判断する時に

次女の豚絵は

出来るだけ楽しそうな方を選び

三女の豚子は

出来るだけ自分が得をする方を選ぶ


そして私は

出来るだけ不幸にならない方を選ぶ


だから私の人生は

二匹より不幸になる事は少ないが

豚絵より楽しい出来事もないし

豚子より得する事もない




真っ黒な細見のスーツに身を包んだ狼は

豚子の為の席に

私達の半分もないであろう小さな腰を

落ち着かせた


「あなたが豚美さんですね?」

体の割に大きな口で

そして大きな口の割に

とても小さな声で聞いてきた


「はい。こっちが豚美で、私が豚絵です。

豚子の知り合いの方ですか?」


豚絵は狼への恐怖より

狼への好奇心が勝った顔で

私より先に狼に返事をした


『一匹狼』という言葉を

容易に連想させる鋭い眼光を

豚絵に向けると

一瞬間があった後に

「そうです」

とだけ答えた


豚絵が黙る




どうやら今朝見た天気予報が外れたらしく

店の外では傘を持たない人達が

突然の大雨に打たれ

慌てて走りまわっている


『折りたたみ傘を持ってきてよかったな』

と頭の隅っこで考えながら

狼の話を聞いていた



人より幸せになろうとも

人より幸せになれるとも思ってはいない

ただ不幸な事を少しでも減らそうと

思って生きてきただけなのに


豚子に係わると

本当にろくな事がない


つづく
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by deniro0817 | 2009-01-29 23:31 | 小説